要約/ビジネス書・映画・本

ビジネス書を中心に購読した要約内容を不定期に更新します。

要約:ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

【概要/所感】

海外では2014年に刊行、日本語版は2018年1月に発行された組織論の書籍です。経営層か経営層相手の仕事をしている方、スタートアップに所属しているメンバーにとっては良書だと思います。その他は知っておいた方が良いというレベルでは?と思います。

 

組織モデルの発達段階(歴史)は確かに記述の通りで各事業のビジネスモデルや所属している経営層および社員の属性により成立していると思います。2018年においても衝動型(レッド)に近い組織は十分にあるけれども、多元型(グリーン)の組織はそこそこあるなと感じます。

 

ただ、ティール組織は理想的ではあるものの実現難易度が高いと感じました。組織構成員によりティール組織が機能するかどうか大きく左右しそうだと感じました。エントリーマネジメントやイグジットマネジメントが上手くいっている企業でないと成立するイメージがわかなかったです。日系企業労働基準法の問題もあり外資ほどできないことがボトルネックになりそうです。

 

【要約】

◇組織の歴史

・衝動型(レッド)/メタファー:オオカミの群れ

物事の因果関係の把握を必要とせず短期的な目線で動く組織となります。組織成果は特定の個人に依存するため、再現性がありません。

 

・順応型(アンバー)/メタファー:軍隊

物事の因果関係を把握して、”プロセス”という人類最大の発明を果たした。特定の個人の成果に依存せず、組織として計画的に行動をすることによって、組織の安定性がある組織になりました。支配者層という各役割が誕生しました。

 

・達成型(オレンジ)/メタファー:機械

階層構造はあるものの役割に流動性があるため上からも下からも挟まれ、常に競争を強いられる組織となります。そのため、外部環境の変化にも適応できますが各階層が持つ役割・権力は明確となり、責任をより階層が下の人材が請け負う形式になります。

 

・多元型(グリーン)/メタファー:家族

階層構造は残しつつ組織内に所属する個人にもう少し目を向けた組織となります。各階層にも権限を委譲する仕組みを選定しています。但し、最終的な決定権限はマネジメント層になります。

 

・進化型(ティール)/メタファー:生命体

役職も階層もすべてを取り外した新しい組織概念になります。組織構成員全員を信頼して、組織の成長を促進しようと前進していく

 

◇ティール組織について

組織は社長や株主のものではなくひとつの生命体として運営していきます。組織の存在目的を実現し続けるために構成員同士で互いに関わり合うものです。

重要な要素は全体性、自己管理、存在目的になります。

 

①全体性/Wholness

組織の構成員全員でひとつの生命として捉えて、各自の個性(志向や能力)を活かしあうことで最大限に長所を発揮することができます。短所ではなく長所を活かしたスタイルができます。

 

②自主経営/Self-management

社長や管理職からの指示命令系統はなく組織の目的を実現するために組織構成員同士で信頼をしあって運営をします。自分自身を組織として見立てて動く必要があります。自主経営を実現するには、情報の透明化(給与や売上等)、意思決定プロセスの権限移譲、人事プロセスの明確化(採用、退職など)

 

③存在目的/Evolutionary purpose

組織として存在意義を互いに理解しないと、ひとつの生命体として機能することができないです。どの方向性に向かっているのか組織人員同士で話し合う場なども必要です。

 

実現できると、マイクロマネジメントが必要なくなりマネジメントコストが減少します。実はマネジメントの管理コストが必要なくなり、

※ホラクラシー組織は、ティール組織のひとつになるようです。

 

購読ログ「デービッド・アトキンソン 新・所得倍増論」

■盲目的な動きにならないように、定量で把握することの大切さを学ぶ上で良書だと思います。

概要を記載すると、日本経済について日本国内だけでは多角的なデータから分析をした著書になります。問題提起については非常に面白い本ではあるものの、対策が不明瞭なことが残念だと思いました。しかし、腑に落ちる内容を展開されています。

 

>日本の経済成長は、「人口増」による副産物

特に日本のGDPは世界3位

しかし、1人当たりのGDPは世界27位、1人当たり輸出額は世界44位

 

などデータに裏付けられている分析となるため、目をそらしてはいけない指摘だと思います。発展途上国や2000年代で言うBRICsの経済成長を人口増加が要因であり、日本国民の方が1人1人は優秀で生産性は高いと、データに基づかない論理を展開していたマスメディアや指導者は日本の問題のひとつだと思います。国民の奮起を促すための発信は大事だと思いますが、物事の本質を考えずに盲目的に進むと袋小路になるため未来の行動を決めていくために読むべき本のひとつだと思いました。

購読ログ「〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則」

■著書概要

 

水面下で既に進捗している時代の変遷について説明をしています。約30年間をかけて私たちの生活に破壊的変化をもたらすテクノロジーを12の不可避な潮流から分析をしています。点で捉えると理解し辛い変化を線で把握することができます。

■内容詳細

今後、プロダクト(製品)の本質は「サービス」となり、重要なことは「プロセス」になっていきます。例えば、テクノロジーを高度に取り込んだ自動車は交通サービスに変わり、その素材を常に最新のものにアップデートすることで、ユーザーの使い方にすぐに適応し、フィードバックし、競合しながらイノベーションを起こして使い込まれていきます。常に柔軟にカスタマイズされてアップデート化されていきます。

よく言われている「所有」から「利用」に価値が移行をしていること、また「価値ある利用」は常に再定義され続けていきます。「価値ある体験」を開発するためには「結果」ではなく「大局観」を抑えることが大事です。それは「テクノロジー」を含めた社会動向や時代背景、開発方法を抑えることが大切です。面白いと思ったことは技術革新において、本来、注目すべきことは個別の製品(ガジェット)ではなく技術的な革新および研究内容であり、製品は結果で技術的革新は過程となります。価値の源泉は過程で発生した研究内容になるため、成果としての反映方法はプロセスに依存します。

■12の不可避な潮流 

1.BECOMING —ビカミング(なっていく)
変化し続けるデジタル化した世界において、アップグレードを止めることができないです。結果(製品)ではなく、永遠に適応し続ける必要が発生しています。

2.COGNIFYING —コグニファイング(認知化していく)
「認知」することによってAIが自動学習をして、より最適なプロダクトを生むことができる様になっていきます。Googleが本当に作っているのは検索サービスではなく「AI」です。

マシンは認知をすれば人間より正確に確実に業務をこなします。そのため、 競争をしたらマシンに勝てないので共存することが大事です。共存する方法は以下の様な進め方。

1ロボットやコンピューターに僕の仕事などできはしない。

2.OK、かなりいろいろできるようだけれど、僕なら何でもこなせる。

3.OK、僕にできることは何でもできるようだけれど、故障したら僕が必要だし、しょっちゅうそうなる。

4.OK、お決まりの仕事はミスなくやっているが、新しい仕事は教えてやらなきゃいけない。

5.OK、わかった、僕の退屈な仕事は全部やってくれ。そもそも最初から、人間がやるべき仕事じゃなかったんだ。

6.すごいな、以前の仕事はロボットがやっているけど、僕の新しい仕事はもっと面白いし給料もいい!

7.僕の仕事はロボットもコンピューターもできないなんて、すごくうれしい。
[以上を繰り返す]

3.FLOWING —フローイング(流れていく)
インターネットは世界最大のコピーマシンであり自由に無料でコピーがされ続けていきます。模造できないものは「信頼」ぐらいです。

更に無料でなくてもサービスを有料でも購買をしたいと思われる価値発揮できるものは「即時性」、「パーソナライズ」、「解釈」、「信頼性」、「アクセス可能性」、「実体化」、「支援者」、「発見可能性」です。
※補足
・解釈→無料でサービスが利用できる様になっても効果的な使い方がわかるとわからないで効果が大きく変わってくる
・アクセス可能性→所有することは面倒なので利用したいときに利用できる様にする保管の手間をかけず簡単にアクセスできること
・実体化→サービスは自由でも体験に価値を払う。
・支援者→熱烈なファンは良いサービスに「感謝」してお金で報いたいと思っている。
・発見可能性→アマゾンの最大の価値は20年に渡って集めた何百万もの読者レビュー。アマゾンであれば自分の読みたい本が見つけやすいからお金を払う価値が発生する。
更に価値が流れていく過程には4つの段階があります。

▼4つの過程

①固定的/希少→希少なプロダクトを作る。
②無料/どこにでもある→プロダクトのコピー&コモディティ化
③流動的/共有される→プロダクトのアンバンドル化(分割化)。プロダクトを形成する各要素が流動化して新しい用途をみつけリミックスされて新たにバンドル(束、統合)される。
④オープン/なっていく→強力なサービスと利用可能な部分が安価に手に入る様になる。専門性を持たないアマチュアがそれらを使って新しいプロダクトや斬新な製品カテゴリを創りだす。オーディエンスがアーティストに変わる。

物質ではなく、体験にお金を払います。物質にチップが埋め込まれて体験を学習し続け、希少価値を生み、模造され、新しい価値が流れていくという流れがでる。ハードではなくソフトにより価値が出てきます。

4.SCREENING —スクリーニング(画面でみていく)
口伝社会の古代から文字が開発されて、印刷物になり、そこからデジタルスクリーンに変遷していきました。現在、デジタルディスプレイは毎年、約38億、製造されています。世界の人口全員に1台、配布されるペースで生み出されています。スクリーニング(画面を通じて読書)により手元に印刷物がなくても気軽にデータを読み取ることができる。

5.ACCESSING —アクセシング(接続していく)
世界最大のタクシー会社はウーバーだが、車は1台も保有していない、世界でもっとも人気のあるメディアの所有者はFacebookだが自社でコンテンツはひとつも作っていない。アリババは最も市場価格の高い小売業だが倉庫を持っていない、エアビーアンドビーは世界最大の宿泊施設提供会社だが不動産は何も持っていない。興味深いことが起きている。デジタルメディアでもネットフリックス、スポティファイ、アマゾンのキンドルなども同様の現象が発生している。つまり、所有は大事ではなく「アクセス」ができることの方がよっぽど大事。これはインターネット、ウェブ、スマートフォンが結びついた世界によって実現されている。アクセスへと向かい、所有から離れていくこうした長期的な動きを加速させる5つのテクノジーのトレンド(非物質化、リアルタイムのオンデマンド、分散化、プラットフォームの相乗効果、クラウド)が起きている。

①非物質化
過去30年のトレンドはより良いモノをより少ない材料で作ること。現在の自動車は1970年代と比較して平均25%は軽くなっている。デジタルテクノロジーは製品からサービスへの移行を促すことで、非物質化を加速する。知能といったソフトがハードの中に組み込まれて、ハードがソフトの様に動く様になっていく。つまり所有権の購入からアクセス権の定額利用への転換。アドビ社が提供しているPhoto shopなどの話は有名で、バージョン別の販売をやめて月額のサブスクリプションを支払う限り、サービスにサインアップすればいつでも最新のソフトが使える。アクセス方式の結果、コンシューマがプロデューサーにより近づき、消費者がますます製作者のように行動する様になっていく。

②リアルタイムのオンデマンド
アクセスすることは、新しいものをほぼリアルタイムで届けることにもつながる。リアルタイムで動いていなければもはや見向きもされない、有名なのがウーバー。ウーバーが提供できる理由は、従業員がいっぱいいるからではなく、ソフトウェアを所有して、すべての仕事をアウトソーシングをしているからだ。現代生活の長期的なトレンドとしてはほとんどのプロダクトやサービスが短期利用になるのだ。プロダクトやサービスはレンタルやシェアの対象になっていく。

③分散化
分散化は可能になったのではなく不可避なものになった。中央集権的な組織からよりフラットなネットワーク型の世界に移行した結果、すべてのものが素早く流れて全体の統一を維持しないといけなくなった。所有をしても流れ落ちてしまう。
④プラットフォームの相乗効果
サードパーティーと手を組んでプラットフォームの価値を高めている。プラットフォーム上でエコシステムを形成している。
クラウド
大量のデータといつでも接することができる。

6.SHARING —シェアリング(共有していく)

シェア、協力、コラボレーション、集産主義。Facebookは14億を超える人々が介在して、10億の人々が無償でコンテンツを作成し続けている。経済原理ではなく、ギフトの共有。オープンソースの開発者は学んで新しい技能を身に着ける。また、無料で働く人は自分という鈍ったソフトウェアを改善するため。マスのオーディエンスが力を持つ時代は終わった。シェアテクノジーによりクリックひとつで情報にたどり着ける様になった。

7.FILTERING —フィルタリング(選別していく)
途方もなく増える選択肢をアシストすること。アシストする人はゲートキーパー、仲介者、キュレーター、ブランド、政府、文化的環境、友人、われわれなど。レコメンドフィルターがないと、途方もない情報があるため、判断に苦しむ。パーソナライズが進めば進むほどフィルターはその個性を認識しやすくなり、より働きやすくなる。

8.REMIXING —リミクシング(リミックスしていく)
原始的なテクノロジーと新しいテクノロジーが掛け合わされていく。既存の素材を再構成、再利用されていく。

9.INTERACTING —インタラクティング(相互作用していく)
VRの様な機能によって頭で考えるだけで直接、テクノロジーとインタラクションしていく流れ。

10.TRACKING —トラッキング(追跡していく)
すべてのログを追跡することで、サービスを向上させていくことができる。

11.QUESTIONING —クエスチョニング(質問していく)
問題を解決する以上に新しい課題を見つけていく、質問していくことが更なる価値の再形成になっていく。

12.BEGINNING —ビギニング(始まっていく)
1~11の流れで進み、新しいライフスタイルやデジタル社会が始まっていく ことを示します。